【BIG ROMANTIC INTERVIEW】mui zyu
イギリスを拠点に活動するアーティスト「mui zyu」が、ついに日本初上陸。自身のルーツや文化を色濃く反映した音楽で世界を魅了する彼女が来日ツアーを前に語った音楽への想いとは――。
以英國為據點活動、即將首度來到日本的創作人「mui zyu」。音樂以濃烈的色彩反映出自己的文化根源並創造出充滿魅力的世界。這次來日巡迴前,要先來和大家聊聊自己對於音樂的想法啦~
― 自己紹介をお願いします。
音楽活動を始めたきっかけや、これまでのキャリアについて教えてください。どのような想いでアーティスト活動を続けてきたのでしょうか? 可以跟我們介紹一下你自己並告訴我們你的背景和成為音樂人的過程嗎?
こんにちは、mui zyuです👋 このプロジェクトの音楽制作を始めたのは、COVID-19のパンデミックによるロックダウン中でした。当時はアイデアがどんどん湧き出ていて、家に閉じこもっていたのですが、振り返るとその時間にとても感謝しています。また、「Dama Scout」というバンドでも活動していますが、ロックダウン中はライブができなかったため、自然と休止期間に入りました。その後、2枚のEPと2枚のアルバムをリリースし、世界を巡るツアーも始まりました。どれも大きな計画の一部ではなく、ただ自分にとって最高の作品を作りたいという気持ちが原動力です。それ以外のことは、すべて素晴らしいボーナスだと思っています。
哈囉,我是mui zyu👋 我開始這個音樂計畫是在2019年疫情開始的時候。因為封城只能待在家裡,但也因此讓我有許多源源不絕的創作靈感,現在回想起來其實很感謝有那個時期。我也有參與一個叫做「Dama Scout」的樂團,但因為疫情的關係沒辦法聚在一起演出,而有了喘息的空間。於是在那個時間我發行了兩張EP和兩張專輯並開始在世界各地旅行。這些都不是一開始就被計劃的事。我只是想做我能做並把勁能我所能地把這些事做好,如果有其他的收穫都是意料之外的美好獎勵。
mui zyuのバンド「Dama Scout」
― mui zyuというプロジェクト名にはどのような意味や想いが込められていますか?
「mui zyu」這個名字是什麼意思呢?有什麼想透過這個計畫告訴大家的嗎?
「mui zyu」は私自身や多くの人にとっての広東語のニックネームで、「妹豚ちゃん」を意味します。家族の年長者が赤ちゃんに対してよく使う愛称です。今でも98歳の伝説的な祖母が私を「mui zyu」と呼びます。 このプロジェクトの楽曲制作を始めたとき、私は自分の香港のルーツを深く探っていました。イギリスで生きていくために長年続けてきた仮面や隠れた部分を解きほぐす作業を始めたのです。幼い頃に呼ばれていた愛称を使うことは、とても自然で、まるでリセットするような感覚でした。
「mui zyu」是我(和許多人)的粵語乳名,意思是「豬小妹」,這個綽號在以前的家庭裡很常被拿來使用。我的98歲高齡嬤嬤現在也還是會叫我mui zyu。當我開始做這些歌的時候,我也同時在尋找關於我在香港的根。開始慢慢脫下這幾年在英國生活戴上的面具和隱藏的部分,也因此使用小時候被叫的乳名,我覺得很合適,就像一切重新開始。
― あなたの音楽には香港のルーツや文化が強く反映されていますが、それが具体的にどのように音楽に影響を与えているのでしょうか?
你的音樂強烈地反映出你的香港血統和文化。 這些是怎麼對你的音樂產生特別影響的呢?
私の(おそらく少し誤解してる)香港のルーツは、これまでのすべての音楽において重要な役割を果たしてきました。子供の頃に聴いていたCanto-popを思わせるメロディを作ろうとすることから、学校で経験した人種差別について語ること、見知らぬ土地で私たちを育ててくれた家族の女性たちを称えることまで、さまざまなテーマを取り上げています。また、家族のレストランの雰囲気を再現したり、アートワークやビデオに香港文化を感じさせるイメージを取り入れたりしています。最近では、広東語の楽曲を収録したEPを制作しました。翻訳は父と友人のエマ・リー・モスが手伝ってくれました。
直到現在我的(可能有點被誤解)香港血統在我所有的音樂中都發揮了重要作用。從試圖創作會讓人聯想我們成長時聽的Canto-pop旋律,到試圖討論我在學校經歷的種族歧視,到慶祝在不熟悉的世界中撫養我們長大的偉大家庭女性,試圖還原家庭餐廳的氛圍場景,並在我的作品和影片裡提到香港文化。我最近用粵語錄製了一張我的歌曲EP—我爸爸和朋友Emma-Lee Moss幫助我完成所有的翻譯。
mui zyu - 當娜喜歡寄生蟲 (donna likes parasites)
― 日本や台湾、中華圏の音楽やアーティストで、あなたに影響を与えたものはありますか?
有沒有帶給你影響的日本、台灣、或中文體系的創作人或音樂呢?
私の音楽には、東アジアや東南アジアの多くのアーティストからの影響があります。メロディの面では、フェイ・ウォン、アニタ・ムイ、テレサ・テンといったアーティストや、イエロー・マジック・オーケストラ、コシミハル、竹内まりやといった日本のバンドやプロデューサーから大きなインスピレーションを受けています。最新のアルバム制作では、細野晴臣がコシミハルと制作した『Parallelisme』のプロダクションを多く参考にしました。さらに、ウォン・カーウァイの映画や、スタジオジブリの作品、そしてこの地域全体から生みだされたユニークなホラー映画も私の創作に大きな影響を与えています。
有非常多的東亞、東南亞創作人影響了我的創作。例如旋律方面,王菲、梅艷芳、鄧麗君和日本的樂團和製作人像是Yellow Magic Orchestra、越美晴、竹內瑪莉亞等等音樂人都給了我很多啟發。最近錄音拿來當範例的是細野晴臣監製的越美晴的唱片《Parallelisme》。還有王家衛、吉卜力工作室系列、跟世界各地的獨特恐怖電影也都激發了我很多的創作靈感。
Miharu Koshi - Parallelisme
2. アルバムや楽曲制作について
― 新作アルバム『nothing or something to die for』を通じてリスナーに伝えたいメッセージは何ですか?
你有什麼想藉由新專輯傳達給大家的訊息嗎?
簡単に言えば、このアルバムは「希望」をテーマにしています。デビュー作よりも外向きな視点を持った作品であり、私なりの世界の理解を表現していますが、それは答えよりもむしろ多くの問いを投げかけるものです。このアルバムは全体を通して聴いてもらうのが理想的だと思っています。今の時代、アルバムを通しで聴く人は少なくなっていますが、曲の並びはひとつの旅のような構成になっていて、それぞれの曲が前の曲から物語を受け継いだり、次へと展開していくように意図しています。
簡單的說,這是一張講述希望的專輯。也是比首張專輯更外向的作品。是我目前對世界最好的理解,但它傳遞更多的是丟出問題而不是給答案。這是一張希望大家可以從頭到尾順著聽完的作品,現在好像有很多聽眾不會用這樣的方式聽音樂,但會希望大家可以試著照我們的排序來聽聽看這張作品,一起參與曲子串連起的這趟旅程。
― 楽曲制作において特にこだわっている点や、インスピレーションの源は何ですか?
在寫歌的時候你最注重什麼呢?你又是如何尋找靈感?
私は常に何かを書いています。言葉であったり、曲のアイデアや実際のプロダクションの断片など、さまざまです。曲の意味が常に最も重要であり、すべての音楽をコラボレーターのルチアーノ・ロッシと一緒に制作しています。プロダクションのすべての決定は、曲の意味に基づいています。ピアノをテープに録音してスロー再生したり、エフェクターを通してからパソコンに取り込んだりすることもありますが、それと同時に言葉や隠された意味についても話し合っています。どの作品も完全に完成することはなく、最終的には「手放す」だけだと思っています。
我隨時都在寫作。不論是歌詞、靈感還是實際的音樂片段。而一切最重要的我覺得是歌曲含義。
我和我的夥伴Luciano Rossi一起製作所有的作品。而我們做的任何決定都會以歌曲的含義為優先。我們非常樂於將鋼琴錄到磁盤上,放慢速度並用效果器處理後放進電腦裡,同時也討論歌詞和隱含的意義。作品沒有真正完成的一天,只有適時選擇放棄繼續修改。
mui zyu - the rules of what an earthling can be
(キーボード奏者がルシアーノ・ロッシ)
3. 文化的な背景や価値観について
― 香港、ベルファスト、イギリスの郊外での生活が、音楽の世界観や表現にどのように影響を与えていますか?
想知道你在香港、貝爾法斯特、英國郊區的生活經驗帶給你的音樂和創作生涯的影響?
私の作品の多くは、たとえどんなに抽象的であっても、ある種の自伝的な要素を持っています。テーマとしては「文化的な居場所の喪失」を扱うことが多かったのですが、最近ではそれを以前ほどネガティブには捉えていません。「mui zyu」プロジェクトは、異なる世界の間で生きる自分自身の背景をより深く理解するために始めたものであり、その中で感じる戸惑いや、そこから生まれるネガティブな面とポジティブな面の両方を受け入れる過程でした。このプロセスを通じて、家族全体に対する尊敬の念が一層深まりました。ある意味、私たちは皆、異なる世界の間で生きているのだと思います。そして、「文化」という概念は必ずしも「場所」と結びつくものではないと感じています。
我的很多作品,即便是最隱晦艱澀的部分,都多少帶有一些自傳性質。主題經常圍繞著文化位移的感受——不過最近我對這種感覺的看法沒那麼負面了。mui zyu這個計劃最初是為了幫助我更好地理解自己的背景,理解自己如何在這些不同的世界中穿梭,以及由此帶來的困惑中的優點與缺點。這個過程讓我對整個大家庭充滿了敬意。我想,在某種程度上,我們都在不同的世界之間穿梭,而文化的概念並不僅僅與地域有關。
4. プライベートな興味や趣味について
― 音楽制作以外で、今夢中になっていることや趣味は何ですか?
除了音樂之外,最近有什麼特別熱衷的東西嗎?
私はロンドンでいくつかのコミュニティグループに所属しており、反戦運動や、より具体的にはESEA(東アジアおよび東南アジア)関連のグループにも参加しています。リラックスするためには、読書をしたり、散歩に出かけたり、ビデオゲームをしたりします。社交的な場も時々楽しみますが、基本的には内向的な性格なので、すぐに圧倒されて疲れてしまいます。そのため、充電するために猫と一緒に丸まって過ごす時間が必要になります。
我加入了倫敦裡許多關於反戰和討論東亞、東南亞為主的組織,我也會閱讀、散步、打電動來放鬆。因為我是內向者,所以太多社交會很快讓我感到不知所措和疲憊,就會需要趕快回家和貓咪窩在一起充電。
― あなたの生活や個性が音楽にどのように反映されていますか?
– 你的日常生活和個人身份是如何反映在你的創作裡呢?
私はいつも何かを書いていますが、それはおそらく世界についてのさほど深くない観察です。いくつかは曲になることもありますが、多くは何もないところに消えていきます。最近では、生活と音楽が交差することを減らしたいと考えています。私は「セレブリティ」という概念に反対で、好きなアートを作るアーティストについてあまり知らない方がいいと思っています。今の時代、人々はオリジナルに見せようとするあまり、逆に画一的になっている気がして、それが退屈に感じます。
自分のアイデンティティを作品で多く探求してきましたが、これからはそのフェーズを終えようと思っています。その探求は私にとって健康的なプロセスであり、家族やルーツに近づくきっかけにもなりましたが、何か深い癒しを得るというよりも、むしろ結論の出ない旅だったと思います。でも、それで全く問題ありません。私は、日常のささいなことやシンプルなテーマを描いた曲が好きなので、次のアルバムは「バスを待つこと」についての曲が多くなって、「アジア人であること」についての曲が少なくなるかもしれません(笑)。
我一直都沒有停止創作,可能會記下一些對世界並不特別深刻的觀察。
有些觀察會成為歌曲的一部分,但大多數可能就這樣消失在虛無之中。
如今,我越來越希望可以將生活方式與音樂分開。我不喜歡網紅文化,對於喜歡的藝術家不想知道他們太多的私生活如何。我們處於一個奇怪的時代,人們為了顯得獨特,反而變得越來越相似,這對我來說很無聊。我在作品中探索了很多關於身份的問題,未來我可能會轉向其他方向。雖然這些探索對我來說是健康的,也讓我更接近家人和文化根源,但這段旅程並不是一種能帶來深刻療癒的體驗——雖然對我來說完全沒問題。我也很喜歡探討日常瑣事和簡單主題的歌曲,所以我的下一張專輯可能更多地是關於等公車,而不是關於作為亞洲人的經歷(笑)。
✦ mui zyu taiwan / japan tour 2024 ✦
12/4 台北・台北月見ル君想フ
12/5 台北・女巫店
12/10 東京・青山月見ル君想フ
12/11 名古屋・KDJAPON
12/12 京都・UrBANGUILD
▍Tokyo ▍
Date: 12/10
Venue: 青山月見ル君想フ / Moonromantic, Tokyo
Ticket Price: 前売り¥5000 / 当日¥5500 (+1drink fee)
Show times: 開場19:00 / 開演19:30
w.MANAKANA
DJ Tako Mizutani
Ticket link: https://241210.peatix.com/
▍Nagoya ▍
Date: 12/11
Venue: KD Japon, Nagoya
Ticket Price: 前売り¥5000 / 当日¥5500 (+1drink fee)
Show times: 開場19:00 / 開演19:30
w.marucoporoporo / Eri Nagami
Ticket link: https://241211.peatix.com/
▍Kyoto ▍
Date: 12/12
Venue: UrBANGUILD, Kyoto
Ticket Price: 前売り¥5000 / 当日¥5500 (+1drink fee)
Show times: 開場19:00 / 開演19:30
w.幽体コミュニケーションズ
Ticket link: https://241212.peatix.com/
※即日販売開始
※整理番号順入場
主催:BIG ROMANTIC ENTERTAINMENT
mui zyu
mui zyuはイギリス在住香港系アーティストEva Liu のソロプロジェクト。
幻想的なストリングスにテープのように切り貼りされたドラム・サンプリングや中国の伝統的な楽器を融合させ、ユニークかつファンタジックなアジア的サウンドスケープを魅せるクリエイティヴで注目の存在となった。
デビュー・アルバム「Rotten Bun for an Eggless Century」では自らの香港出身としてのアイデンティティと文化的変遷を掘り下げ、2024年リリースの2枚目となるLP「nothing or something to die for」では外に目を向けて、現代に存在する混沌をテーマに制作された。不条理に目を向けつつも、私たちが切望する道を見つけるべく、リスナーに他者とのつながりや自分自身の中に慰めを見出すよう促す、痛烈な励ましのメッセージを表現している。
mui zyu,出身香港的英籍音樂人 Eva Liu 的化名,遊走於虛無與萬物之間。
將夢幻般的弦樂、磁帶失真的鼓機與傳統中國樂器融合,構建出一個不安的聲音基底,並在其上對比出甜美的流行旋律,透過音樂創造出一種存在主義的慰藉。首張專輯《Rotten Bun for an Eggless Century》探討了身份認同和文化流離。
2024 年 5 月 24 日由 Father/Daughter 發行第二張專輯《nothing or something to die for》則將目光投向外界,剖析當代存在的混亂。這張專輯並非絕望的體現,反而是呼籲聽眾在與他人及自身的連結中找到慰藉的鼓勵。專輯以荒誕的視角探求:如何找到牆中的洞口?
如今 Liu 不再從內部尋找答案,而是抬頭觀看周遭世界。她嘗試理解人類存在的複雜性和意義,觀察到冷漠與壓倒性的混亂並存;技術進步讓人們更緊密相連,但缺乏有意義的聯繫,同時承受著維護他人標準的挫敗感。《nothing or something to die for》試圖解讀這些相互矛盾的真相,承載著那些試圖摧毀世界的重擔,以及其中一切毫無意義的虛無。
《Rotten Bun for an Eggless Century》和《nothing or something to die for》共同反映了塑造我們身份的每一個人事物,以及我們在現世中所佔據的位置。